あなたがあなたであった。
その輪郭を、わたしは残したい。
詩とは、何者なのか。
歌とは、なぜ人の心に残るのか。
言葉は、とても小さい。
けれど、ときに一つの言葉が、
ひとりの人生より長く残ることがある。
なぜ、その言葉だったのか。
なぜ、その順番だったのか。
なぜ、言い切らなかったのか。
詩歌研究では、
詩人や歌人の生涯、時代、作品をたどりながら、
その人が何を見つめ、
何を言葉にし、
何を言葉にしなかったのかを考えていきます。
恋。
孤独。
死。
身体。
季節。
家族。
故郷。
祈り。
人は、言葉にしきれないものに出会ったとき、
詩や歌をつくるのかもしれません。
一篇の詩。
一首の歌。
その短い言葉の奥には、
書いた人の生きた時間や、
時代の空気、
誰かへのまなざしまで、
静かに残っている気がします。
わたしが知りたいのは、
作品の意味だけではありません。
なぜ、その人は、その言葉を残さずにはいられなかったのか。
詩人が残した言葉を読みながら、
その人が生きた輪郭を、
ひとつずつ見つめていく研究です。
あなたがあなたであった。
その輪郭を、言葉の中から探していく。
サーヤ

表紙の絵:Luna SĀYA
うた
森田童子(もりた どうじ)
一九七〇年代を歌い、八年で消えた歌い手。自分の歌は身の上話ではないと本人が言い、素顔も名前も明かさなかった。歌が置かれた場所と時代から、その「ぼくたち」の輪郭をたどる。
▶ ぼくたちの時代を残したかった人