人相学で、鼻は「自分」を表す部位だとされる。財運の話として語られることが多いが、私はもう少し奥を見る。鼻は——その人が自分自身をどう扱ってきたか、の記録だと思っている。
鼻筋がまっすぐ通っている人は、自分の中に一本の軸を持っていることが多い。何を大切にし、何を譲れないかが、本人の中で定まっている。
小鼻がしっかりしている人は、地に足のついた現実感を持つ。理想だけでなく、生活を支える力がある。
ただし——鼻が強いことは、頑固さと紙一重だ。自分の軸が強い分、相手の軸を見落とすことがある。
鼻は、自尊心の在り処だ。自尊心は、傲慢とは違う。自分を粗末にしないという、静かな約束のことだ。
自分を尊重できる人は、相手も尊重できる。自分の尊厳を知っている人だけが、相手の尊厳の輪郭を、正確に見ることができる。

