傷つきたくないから、好きにならないようにする。期待しないように、感情を先回りして閉じる。そういう生き方を選ぶ人がいる。
その気持ちは、わかる。一度深く傷ついた人ほど、心に蓋をすることを覚える。それは、自分を守るための知恵だ。
だが——蓋をした心は、痛みを防ぐと同時に、よろこびも閉じ込めてしまう。
感情を麻痺させることは、安全だけれど、生きている実感を少しずつ薄くしていく。
怖れずに人を好きになりなさい、とは言わない。それは、傷ついた人への無責任な言葉だ。
ただ、好きになることを怖れている自分に、気づいていてほしい。心を閉じたのは過去の痛みのせいであって、あなたが冷たいからではない。そして、いつかまた、開いてもいいのだということを。

