SNSは、人と人との距離を変えた。会わなくても、相手の今がわかる。何を食べ、誰といて、何を感じているか——断片が、絶え間なく流れてくる。
これは、恋愛に何をもたらしたか。
与えたものがある。遠くの人とつながれる。会えない時間も、細い糸でつながっていられる。言葉にしにくい想いを、そっと残しておける。
だが、奪ったものもある。「わからない時間」が、消えた。かつて、相手が何をしているかわからない時間があった。その空白の中で、人は相手を想った。想像し、待ち、会えたときの喜びがあった。
今は、空白が埋められてしまう。わかりすぎることが、想う力を弱めることがある。そして、比べる材料が増えすぎた。他人の関係が、いつも視界に入る。
SNSが悪いのではない。ただ、流れてくるものに飲まれず、目の前の一人を、自分の目で見ること。画面を閉じたあとに残る関係を、大切にしたい。

