地に染みる

露は、朝にだけ、ある。

夜のあいだに、しずかに降りて、草の葉に、まるい光を結ぶ。

誰も見ていなくても、露は、降りる。

そして、陽がのぼれば、消える。

だが、消えたのではない。地に、染み込んだのだ。

露は、自分の姿を、残さない。

ただ、土を、わずかに潤して、いなくなる。

人の善さも、そうであっていい。

名を残さず、礼も求めず、ただ、誰かの乾いた場所に、そっと染みていく。

見えなくなることを、おそれない。

染みたものは、消えない。

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