草花研究

白い紫陽花——土に染まらない、という色

梅雨の、雨の続く時間。青や桃色の紫陽花が並ぶ中に、白い一株が混じっている。暗い日ほど、そこだけが遠くからでも見える。 紫陽花の色は、土が決めている 紫陽花の色は、花が決めていない。根の立っている土が決めている。 紫陽花はアントシアニンという...
草花研究

チングルマ——草に見えて、木である

雪が消えたばかりの斜面に、白い花が群れて咲いている。高い山の、夏がいちばん短い場所だ。 チングルマという花 バラ科。学名は Geum pentapetalum。本州の中部から北、そして北海道の高い山に生える。雪田——夏の遅くまで雪が残る窪地...
草花研究

金鳳花——光を集める花が、なぜ毒を持つのか

道端の、誰も足を止めない場所に咲いている。それでも、遠くからでもわかる。金鳳花は、光っている。 草花研究について 人相を読み、手相を読み、時代を読んできた。どれも「そこにあるものを、そのまま見る」という一つのやり方でつながっている。草花も、...
灯火

忘れもの

電車の座席に、手袋が、片方だけ、残されていた。拾った女は、それを、駅員に、届けようとした。だが、ふと、思い直して、いちばん目立つ、手すりの上に、置いた。「探しに来た人が、すぐ見つけられるように」落とし主のことを、会ったこともないのに、想って...
太陽

冬の陽だまり

冬の光は、夏より、弱い。だが、冬の陽だまりの、ありがたさを、人は、知っている。強い光より、弱い光のほうが、ありがたく感じられる季節が、ある。夏、人は、太陽を、うとましく思う。冬、人は、同じ太陽を、恋しく思う。光の値打ちは、光の強さでは、決ま...
太陽

時計がなくても

昔の人は、時計がなくても、暮らせた。太陽が、時を、教えてくれたから。のぼれば、起き、傾けば、仕事を終え、しずめば、休む。太陽は、急かさない。ただ、めぐる。同じ速さで、毎日を。人は、時間に、追われるようになった。だが、ほんとうのリズムは、今も...
太陽

水たまり

雨あがりの、水たまり。そこにも、太陽は、映る。小さな、濁った水たまりの中にさえ、空と、光が、映っている。太陽は、映る場所を、選ばない。きれいな湖にも、道ばたの水たまりにも、同じように、映る。人の値打ちも、映すものの、きれいさで、決まるのでは...
太陽

曇りの日

曇りの日も、太陽は、ある。雲の上で、変わらず、光っている。見えないだけで、なくなったわけでは、ない。落ち込んでいる人に、「元気を出せ」とは、言わない。ただ、雲の上で、太陽が光り続けているように、その人のことを、変わらず、思っている人がいれば...
太陽

月を照らす

夜空の月は、自分では、光らない。太陽の光を、受けて、はじめて、かがやく。月は、太陽に、礼を言わない。太陽も、それを、求めない。だが、たしかに、太陽の光は、夜の闇のなかで、かたちを変えて、誰かを照らしている。人の善さも、そうかもしれない。あな...
太陽

しずむ勇気

太陽は、のぼるだけでは、ない。夕方には、しずむ。しずむから、また、のぼれる。ずっと照り続けることは、できない。人も、休まなければ、与え続けられない。しずむことは、負けることでも、怠けることでも、ない。明日また、のぼるための、準備だ。自分を休...
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