人は、それぞれの物語を生きている。同じ出来事でも、その人なりの意味づけがある。
よかれと思って、人の物語に手を入れてしまうことがある。「そんなふうに考えるのはおかしい」「こう考えるべきだ」と。
だが、それは相手の物語を、こちらの物語で上書きする行為かもしれない。
人を尊重するとは――その人が、自分の物語を、自分の言葉で語るのを、待つことだ。
答えを与えることより、その人が自分で答えにたどり着くのを、隣で見守ること。
誰かの人生の主語は、いつでも、その人自身だ。
その主語を、奪わない。それが、人と人が対等でいられる、静かな約束だと思う。

