うれしいのか、悲しいのか、わからない。怒っているような、寂しいような。名前のつかない感情に、人はとまどう。
今は、何でもすぐに言葉にすることが求められる。気持ちを整理し、明確にし、説明できることが、よしとされる。
だが、すべての感情に、すぐ名前をつけられるわけではない。
名前のつかないまま、ただ抱えておく。わからないものを、わからないまま、しばらく持っている。
その「保留する力」が、人には要る。
急いで名前をつけると、本当の感情を、ありふれた言葉に押し込めてしまうことがある。
わからなさに耐える。それは、自分の心を、丁寧に扱うということだ。

