けんか

灯火

隣どうしの、ふたりの男がいた。

何が原因だったかは、もう、誰も覚えていない。

とにかく、二十年、口をきかなかった。

道で会えば、目を、そらす。

ある冬、片方の男が、雪で足を滑らせて、動けなくなった。

見つけたのは、もう片方の、男だった。

男は、ためらわなかった。

背負って、医者まで、運んだ。

ふたりは、その後も、口を、きかない。

だが、年に一度、大雪の朝だけは、どちらからともなく、互いの家の前を、かいておくようになった。

許し合えなくても、人は、助け合える。

仲良くなることだけが、共に生きる、ということではない。

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