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この秋、ひとつのキャップを被っている。
SENSE OF GRACE の、デイジー刺繍のベロアキャップ。色はボルドー。
ボルドーはすでに完売している。
残っているのは、同じ刺繍の色違い——ブラックと、チャコールグレー。
今日は帽子そのものではなく、そこに縫われた一輪の花について記録しておく。

デイジーという名前
デイジー(daisy)の語源は、古い英語の「dægesēage」——昼の目、とされている。
朝、陽が昇るとひらき、夕方には花びらを閉じる。
太陽と共に目を開け、太陽と共に眠る花。
その仕草が、そのまま名前になった。
日本では雛菊(ヒナギク)。
花言葉は、平和、希望、純潔。
どれも、明るい側に置かれた言葉である。
デイジー(雛菊)🌼
ヨーロッパでは芝生の雑草。明治の初めに日本へ渡ってきた。国が呼び寄せていたのは役に立つ作物だったのに、食べられも売れもしないこの花が、その流れに紛れて着いた。長命菊と名付けられ、日本の夏は越せない。
▶ 役に立たない花が、どうやって渡ってきたのか(草花研究)
ベロアという夜
一方で、その花が縫われているのはベロアだ。
ベロアは光を跳ね返さない。いったん吸い込んでから、角度によって鈍く返す。
見る位置が変わるたびに、艶が移ろう。
それは、自ら光らず、受けた光を静かに返す月の性質に近い。
昼の目を、夜に縫う
昼にひらく花を、夜の質感の上に置く。
本来なら同じ時間に存在しないものが、ひとつの物の上に並んでいる。
境界は、分けるための線ではなく、重なりが起きる場所でもある。
このキャップは、その小さな見本のように思える。

二色の読み方
ブラック(BK)
黒地に、灰色の糸のデイジー。
花は強く主張せず、夜の中で目だけが静かに開いている。
沈黙を好む人の、目印のような一輪。
→ SENSE OF GRACE デイジー刺繍ベロアキャップ(BK)|楽天市場
チャコールグレー(C.GY)
茶を含んだ、やわらかな灰色。
刺繍の輪郭がにじむように溶けて、昼と夜の境目がぼやける。
黄昏の時間帯に近い色。
→ SENSE OF GRACE デイジー刺繍ベロアキャップ(C.GY)|楽天市場
わたしのボルドーについて
わたしが被っているボルドーは、この二色とは違う色である。
ワインのように深い赤は、夜の手前の熱を帯びていた。
同じ花、同じ素材でも、地の色が変われば、読み方も変わる。
もし再入荷することがあれば、またここに記しておく。
素材と洗濯表示


素材:アクリル60%、ポリエステル40%(中国製)
お手入れのしかたは、タグの洗濯表示をご確認ください。
昼の目を、夜に被る。
それだけのことで、一日の境目が少しだけ柔らかくなる。
被り心地
後ろの長さ調節のところで、頭の大きさについて、締め具合を調節することができる。

深さは、浅めと深めの中間くらいの深さで、目がすっかり隠れるほどでもないので、わたしは気に入っている。
🌙 Luna SĀYA
